
人の身体の半分以上・約60%は水分でできている
私たち人の身体に一番多く含まれる物質は「水」
成人の場合は、身体の55~60%を水分が占めていて、生命活動をサポートしてくれています。
女性は男性に比べると脂肪の量が多いため、水分含有率は約55%と少なめ。また、肥満の人は痩せている人よりも体水分量が少ない傾向に。さらに高齢者は加齢とともに細胞の数が減るため、成人よりも水分含有量が少なく、約50%といわれています。
人の体は、水さえあれば食事をしなくても、1ヶ月近く生きることができるといわれています。一方で、水が1滴も飲めないと、4~5日もすれば深刻な脱水症状になってしまい、生命維持が困難になります。体から水分が1%失われるとのどが渇き、2%でめまいや吐き気や食欲減退、10~12%で筋けいれんや失神、20%で生命の危機に。水分を維持することが、生命活動や健康維持するのに必要なんです。
そんな人の体に欠かせない水分。
今回は、1日に必要な水分補給の目安や、水分補給に適した飲み物をご紹介します。
Contents
一日に必要な水分補給の目安は?基準はある?
欧米の調査によると、1日に必要な水分摂取量の目安は、活発に活動する人で1日3.3〜3.5L、そうでない人で1日2.3〜2.5Lとされています。欧米諸国で水の摂取源は、食物由来がおよそ20〜30%、のこり70〜80%が飲物からであることから、水分補給として1日1.5Lの水を飲むべきだといわれています。
日本人の場合、水の摂取源は、和食など水分含量が高い食事も多いため、食物由来からの摂取割合が欧米諸国とは違う可能性もあります。日本では、水に関して栄養素のような基準値は設定されていません。
水には口から飲む「飲料水」と食べ物の中に含まれる”摂取される水”、体内で栄養素がエネルギーになるとき生成される”代謝水”とがあります。
飲料水から約1000ml
食事から摂取する水は約1100ml
代謝水は約300mlといわれ、
”摂取される水”と”代謝水”の総量は、1日約2400ml。
摂取した水分は尿や便、皮膚、呼吸から自然に蒸発している水分を含むと、1日約2400ml排泄されています。ちょうど入ってくる水分量と同じですね。これは、1日の水分量を平衡に保つ機能が備わっているためで、水分を摂取した量が尿の量で調節されるそうです。だから、夏のように暑くて汗をたくさんかくときには、その分多くの水分補給が必要になります。「のどが渇いたな」と感じたときには、もう脱水が始まっている状態といえます。
1日に必要な水分補給の目安は、1日の水分摂取量・そのうち70〜80%を水分補給として飲むという、欧米の基準を目安にしつつ、定期的に水分を補給しながら、水分不足による体のサインに従うことが必要だといえます。水分不足のサインは、のどの渇き、尿の色の濃さでも判断できます。
体が一度に吸収できる水分量は250mlとコップ1杯程度なので、
がぶ飲みせずに、こまめな水分補給を心がけましょう。
水の働きと効果
水の主な働きは、「物質の溶解・物質の運搬・体温調節」です。
物質の溶解
食事の中に含まれる栄養素は吸収しやすい形に分解され、代謝されます。代謝反応は水に溶けた状態で行われます。
物質の運搬
水分を含む血液やリンパ液は体内の物質を細胞まで運びます。また不要になった老廃物も尿から排泄されます。
体温調節
水は温まりにくく、冷めにくい性質があります。水は温度の変化が少ないので、体温を一定に保つことに役立っています。例えば夏の暑いときや運動時に汗をかくのは、体熱の放散によって体内温度の上昇を防ぐためです。
そして、水による健康効果には、ほかにもこんなものがあります。
- 常温の水を飲み、体が温まり、代謝がアップすることにより、基礎代謝量が増え、痩せ体質に
- 老廃物が排泄され、血液もサラサラに
- 食事をしながら水分を取り入れることで、ゆっくり食べ、満腹感も得られ、食べ過ぎを防げる
- 肌の中まで水分を補ったり、細胞の中の老廃物や毒素が排出され、肌の新陳代謝が改善される
- 水を飲むと精神を安定する効果があったり、ストレスを感じたときや、寝付けないときに効果的
- 便秘解消や老廃物を排出でき、むくみの解消にもつながる
水分補給に適した飲み物を紹介します
水分補給は大切ですがどんな飲み物でもいいわけではなく、シーンごとに使い分けることもおすすめです。
水:日常の水分補給に
日常の水分補給におすすめです。
運動時の使用にもおすすめですが、短時間の場合がよさそうです。1時間以上の長時間や強度の高いスポーツの場合、汗で失われるミネラルを十分に補給しづらいため。
お茶は、不純物が含まれていて嗜好品として好まれていることもあり、さまざまな成分が含まれているので、水分補給をするという点でいうと、お茶よりも水が適しているでしょう。
スポーツドリンク/アイソトニック飲料:運動前や後に
スポーツドリンクには2種類あり、浸透圧のちがいによって区別されます。
アイソトニック飲料は、「等張液」を意味し、安静時の体液と同じ濃度や浸透圧で作られています。塩分は0.1~0.2%、糖質が約4~6%と体液に近い浸透圧のため、水分・糖質・塩分がバランスよく吸収されます。汗をかいて体液が薄くなっていると吸収の速度が落ちるため、運動前や後に飲むのが良いとされています。
ただ、浸透圧は糖質の濃度によって変わるため、糖質が多いアイソトニック飲料は、飲みすぎるとカロリーオーバーの可能性があります。運動後のリカバリーを目的に飲まれることが多いようです。
スポーツドリンク/ハイポトニック飲料:運動中や直後に
ハイポトニック飲料は、糖分や塩分を配合していますが、一般的な体液(血液)の濃度よりも低い浸透圧に設定されている飲み物です。体内への水分補給がスムーズで、糖質が少なくお腹にもたまりにくいことから、運動中や直後に飲むのが適しているといわれています。
ハイポトニック飲料はエネルギーが少ないものが多いですが、高エネルギー(高糖質)でも低浸透圧になるよう工夫された商品もあります。
運動中の水分補給、ただの水だと場合によっては逆効果って事はあんまり知られてないんだな…。
マルトデキストリン(粉末状の炭水化物)やBCAA(必須アミノ酸)の認知度も、びっくりするほど低いもんな…。
アイソトニックとハイポトニックの違いももっと広まるべきやと思う。
まだしばらく暑いやろしな。 pic.twitter.com/7IYsrOYlfg— マイティ真佐打PT(パーソナルトレーナー見習い)💪 (@mightydoro) August 16, 2019
*経口補水液:大量の汗をかいたときや、極度の脱水状態のとき
経口補水液は、塩分濃度が0.3%程度と高めで、糖質が低めのものを指します。大量の発汗でのどの渇きを感じ、水分損失が1%(体重が1キロ減るイメージ)となると脱水の前兆。そういった時や、大量の汗をかいて脱水状態になった時に効果があります。
水分補給とひとくちに言っても、そのシーンや状況に合わせて、適切な飲料を選ぶことも重要です。
水を飲み過ぎて問題になることはない?水分補給は十分に
今回は、1日に必要な水分補給の目安や、水分補給に適した飲み物をご紹介しました。
日本人に必要な水分量の基準は、現時点では正確にはわからないということでしたが、目安よりも多く飲んだとしたら問題があるのでしょうか?
結果としては、基本的に水を飲み過ぎて問題になるということはあまりないようです(糖質を含むスポーツドリンクは別)。人間の体は水分を平衡に保つ働きがあり、不要な水分は最終的に尿や便、皮膚からの蒸発で排出されるので、あまり問題にはなりません。
ただし、運動選手や6ヶ月未満の乳児の場合、低ナトリウム血症を引き起こすこともあるそう。これは、血液中のナトリウム濃度が異常に低くなる症状。
運動選手の場合、運動の前後や運動中に水分を大量に摂取することが一般的です。
また、乳児は嘔吐や下痢によって水分が失われた状態になった際に、水分補給のために水を多く飲ませることで発症します。なので、運動選手や6ヶ月未満の乳児については、注意が必要です。
- 体が一度に吸収できる水分量は250ml(コップ1杯)なので、こまめな水分補給を心がける
- そのシーンや状況に合わせて適切な飲料を選ぶ
以上のポイントをふまえ、十分な水分補給を心がけましょう!